元カノ〜俺と彼女の最後の三ヶ月〜
3.

「昨日のこと、覚えてます?」

レジ台の上を拭くタオルが入ったかごを、洗濯機の中へとひっくり返しながら、思いきったように朋美が言った。

薄暗いバックヤードの片隅の机で、発注用のタブレットを開いていた俺は、そのひとことで顔を上げた。

チラチラと、朋美がさっきからこちらを窺っていたのには気づいてたけど。

「……俺、なにかやらかした?
例によって記憶なくてさぁ。迷惑かけてたら、ごめん」

毎度のこととはいえ、自分の酒癖の悪さに頭を抱えつつも、開き直り、先手必勝で謝っておく。

そうすれば、多少相手の出方も変わってくることを経験上知っている、俺の苦肉の策だった。
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