元カノ〜俺と彼女の最後の三ヶ月〜
4.

信じられない思いで、けれど、妙に静の声が聞きたくなった俺は、着信履歴に残ったそこへ、かけた。

「もしもし?」

久しぶりに耳元で聞いた静の声に、緊張しながらも、さりげなく口を開く。

「あ、俺。電話くれたよね?」

「うん。……ごめん、迷惑だった?」

「んなワケ、ないじゃん。ちょっとびっくりはしたけどさ」

「そっか、良かった。少し、話していい?」

落ち着いた、やわらかな声。
わずかに甘さを含む、抑揚のある話し方。

そう言って静は、他愛もない話をいくつかしたあと、突然、訊いてきた。

「彼女できた?」

と。
< 14 / 41 >

この作品をシェア

pagetop