元カノ〜俺と彼女の最後の三ヶ月〜
軽い咳払いとともに、気取った声が、俺と町田さんの会話をさえぎる。
……黒川だ。
「あのさ、5番レジ前のエンドのゼリー、ズレているんだよね。
もっとこう、さ。美しく並べてよね、う・つ・く・し・く。
お客様からの見栄えが悪いでしょ、あれじゃ」
「あ、はい。すぐに直します」
うるせーなと思いながらも、俺はへらへら笑って答えた。
それから、町田さんに軽く頭を下げると、向こうも目配せをして自分の持ち場へと戻って行く。
黒川は、それを見送って、ふうっ……と、おおげさに溜息をついた。
ふたたび、俺を見て念を押す。
「それじゃ、エンド、ちゃんと直しといてよ?」