隣人同士の恋事情
エレベーターに乗り込み、軽い沈黙。
一緒に乗ったものの……何話せばいいのかな?てか、買い物袋持ったまんまだ。
あたしより数10センチは高い蓮をチラッと盗み見。
ほっんと、昨日は気づかなかったけど、綺麗な顔してるよね。
まつげ長いし、目はパッチリ二重。
髪は染めてるのにさらさらしてて、口は綺麗な形で艶を持ってる。
あんな唇にキスされたら……。
そんなことを思っていると、蓮とバチッと目が合った。
「何?そんなに見つめて。見惚れちゃってんの?」
「なっ!?」
妖艶なほほえみであたしを見下ろし、そう呟く。
「そっ…そんなわけないでしょ!?」
本当は図星。
でも、そんなの言えるわけがない。
真っ赤な頬を隠すため、エレベーターの横の壁の方に顔を向け、聞こえないように深呼吸。
隣で蓮がどんな表情をしてたかなんて……あたしは知らない。