隣人同士の恋事情


エレベーターに乗り込み、軽い沈黙。




一緒に乗ったものの……何話せばいいのかな?てか、買い物袋持ったまんまだ。





あたしより数10センチは高い蓮をチラッと盗み見。


ほっんと、昨日は気づかなかったけど、綺麗な顔してるよね。



まつげ長いし、目はパッチリ二重。


髪は染めてるのにさらさらしてて、口は綺麗な形で艶を持ってる。



あんな唇にキスされたら……。







そんなことを思っていると、蓮とバチッと目が合った。






「何?そんなに見つめて。見惚れちゃってんの?」





「なっ!?」






妖艶なほほえみであたしを見下ろし、そう呟く。








「そっ…そんなわけないでしょ!?」






本当は図星。
でも、そんなの言えるわけがない。







真っ赤な頬を隠すため、エレベーターの横の壁の方に顔を向け、聞こえないように深呼吸。








隣で蓮がどんな表情をしてたかなんて……あたしは知らない。



< 20 / 65 >

この作品をシェア

pagetop