隣人同士の恋事情
チンッ―
エレベーターの着く音がし、ちらっと蓮を見る。あたしの視線にすぐ気づいた蓮は、一瞬微笑むと何ごともなくエレベーターから降りた。
「早くしろ」
その言葉を聞き、あたしは急いで蓮に続く。
マンションの端まで行き立ち止まる。
あたしの部屋は205号室で一番端っこ。その隣の204号室が蓮の部屋になる。
つまりここでお別れ。
「持ってくれてありがとう。助かった」
ニッコリ微笑み、手を差し出す。
しかし、蓮は買い物袋を持ったまま、その場を動こうとしない。
あたしの頭には?マーク。
「どうしたの?」
「夜。俺のも作ってよ」
「はあっ?」
蓮が放った突拍子の言葉に、頭がついていかない。