隣人同士の恋事情
「ドアの音聞こえたからさぁ~。何処行く……って、え?」
さっきまで笑顔だった
蓮の顔が急に真剣になる。
「那美……泣いてんの?」
あたしの涙に気付いた蓮は、そっとあたしの頬に触れようとした。
「…-っ!触らないで!」
パシッ!
あたしはそれを、勢い良く払い退けた。
「な……み…?」
蓮は目を大きく見開いて驚いている。
あたしに叩かれた手は少しずつ赤みを増し、ヒリヒリと痛そうだった。
でも、そんなことに構えれるほど、あたしの心に余裕はない。
蓮に裏切られた…-
あたしの心は
そんな気持ちでいっぱいだった。