隣人同士の恋事情
「ふぅー。ひとまず、あたし帰るね」
「あぁ。そうしてくれ」
えっ?
せっかく来てもらったのに?
まぁ、原因はあたしだろうけど……。
「いいよ、蓮。せっかく来てもらったんだし、ゆっくり…―」
その先を言えなくなったのは、あたしを掴む蓮の手がぎゅうっと強くなったから…-。
薫…ちゃんはニコッと笑うと
「じゃあ、失礼しますね」
と言って部屋から出て行った。
バタン…-
ドアの閉まる音が、
やけに大きく響いたように感じた。