隣人同士の恋事情
蓮が唇を離したのは
それから約30秒後のこと…。
言葉にすると短いけれど、あたしにとってはどんな時間より長く感じた。
「…はぁ……れ…ん?」
「…ごめん。那美の気持ち知ったら…止めるなんて出来なかった」
頬を赤くして言う蓮に
暖かい愛しさを覚える。
「ううん、いいの。…嬉しかった」
そう言うと一回り大きい蓮の体が、もう一度あたしを抱きしめた。
「夢じゃ……ないんだよな?」
「……うん。夢じゃないよ」
「あたしこそ、夢じゃないのかな?」
「ハハッ、当たり前」
そう言って、白い歯を見せる蓮。