【完結】きみを守るために、演じ切ってみせよう。

きみを守るために、演じ切ってみせよう。 6話

(……両親を止められなかった俺たちだ。当然の報い、だな……)

 税金を上げて平民を苦しめ、逆らうものは見せしめとして死なない程度に痛めつけたあとに、家に帰していた。

 だが、遅効性の毒を飲ませていたから、家に戻ったものはあっという間に命を落とす。

 それをまるで、ゲームのように楽しんでいた両親たち。

 止めようとすれば殺されかけた。

 だからこそ、助けられたものは僅かだった。シャーロットはこのことを知らない。教えていないのだから。

(さと)い彼女のことだから、バレているかもしれんがな……)

 リンジーはゆっくりと息を吐いて、それから目を閉じた。

 どうせ殺される運命なのだ。見せしめのように公開処刑をされ、新たに王が生まれるのだろう。

 レジスタントのリーダーになら、あとのことを任せられる。

 レジスタントのリーダーは、騎士だった。

 父親たちの悪行を止めようとしたが、結局止められずに毒を飲まされ、拷問の末に左目を失った。あと一日遅ければ、その命はなかっただろう。

 助け出すのは苦労した。リンジーの護衛である騎士も、彼を助けることに協力してくれた。仲の良い同期だったそうだ。そんな護衛も、つい先日に休暇という名の国外追放を言い渡した。うまくいけば、シャーロットと会えるかもしれない。

(……ローズマリーにも感謝しなくては)

 アカデミーの秀才であった彼女は、このままでは国が滅びるとわざわざリンジーに伝えにきた。

 それに対し、リンジーは沈黙で肯定したことを思い出し、ふっと微笑みを浮かべる。
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop