旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
 こんな暗闇にもかかわらず、アーネストの手は的確にオレリアのブラウスの釦を、一つ一つ外していく。
「ほら、身体を浮かせ」
 まるで赤ん坊の着替えのよう。言われるがまま、されるがまま。
 手をあげ腰を浮かすと、すべてをするりと脱がされた。下着も脱がされ、くまなく裸体を彼の前に晒している。それでも、灯りのない室内がオレリアを大胆にさせた。
 胸を両腕で隠しつつ、目の前の男をじっと見る。
「初めてなので……やさしくしてください……」
 彼の身体がヒクリと揺れたのが見えた。暗くても、これだけ近くにいればその気配を感じるし、姿形もぼんやりと見える。
「初めてなのか? お前の夫は何をしていた? お前を抱かなかったのか?」
「……はい。結婚とは名ばかりで……」
「ひどい夫だな」
 同情するかのような眼差しで見下ろしながら、アーネストは優しくオレリアの頬をなでる。
「お前は……こんなにきれいなのに……」
 なぜか苦しげに言葉を吐き出す。
「わたし……旦那さまに見捨てられたのです……だから……」
 だから、あんな手紙を送ってきたのだ。
「そうか……だったら、俺も間違いなく妻に捨てられるだろう」
 足の間を割って、そこにアーネストが身体を滑り込ませてきた。
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