旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「それが何か問題でも?」
 アーネストは、ひくりと片眉をあげた。何か問題かと問われると、何が問題なのか。まぁ、年の差だろう。年の差のものが問題のような気がする。
「二十歳も年の差があるんだぞ? お前はまだ二十歳だが、俺はもう四十だ」
「はい。アーネストさまの年齢は存じ上げております。ついでにいうならば、陛下は三十八ですし、マルガレットさまは三十二です。お義父さまは六十八になりまして、シャトランさまは六十五です。陛下たちの三人のお子様は……」
「もういい……」
 アーネストを真っ直ぐに見つめてくるオレリアが眩しかった。
「一番の理由は……そう……俺は、お前を裏切った……」
 やはりここまで言わないと彼女は引かないだろう。だけど、リリーは巻き込みたくない。
「俺は、ここに来て一人の女性と関係を持った……」
「それは……どういった……?」
「みなまで言わすな。少なくとも俺は、その女性に興味がある」
 この言葉は偽りではない。
 オレリアのふっくらとした唇は、わなわなと震え始めた。そうやって怒って、アーネストを見下して、嫌ってくれればいいのだ。
「……わかりました」
 ふぅ、と彼女は小さく息を吐いた。それから小さなバッグから何かを取り出して、それを机の上に置いた。
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