旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「アーネストさま」
 無理矢理彼の顎をとらえ、オレリアはその唇を奪う。
 これぞマルガレットの「押し倒せ」だろう。ふにっと彼の唇に少しだけ触れたのに、いきなり頭の後ろを鷲づかみにされ、深く口づけてくる。
「んっ、ん……ん、んっ!」
 苦しくなって、アーネストの肩をバシバシと叩くと、やっと彼が解放してくれた。
「アーネストさま……く、苦しいです」
 はぁはぁと顔を真っ赤にしながら、涙目でアーネストを見上げた。
「煽ってきたお前が悪い。俺は、ずっとこうやって耐えていたというのに」
「耐えていた? 怒っていらっしゃったのではなく?」
「今だって、お前を押し倒したい衝動と闘っている。だが今、それだけは駄目だと俺の理性でなんとか耐えている」
「え、と。それって……」
 オレリアとしてはどうしてもいい方向に考えてしまう。
「まあ、いい。それで、お前はどうしてこんな場所まで来たんだ?」
 理性で耐えたアーネストが、話題を変えてきた。
「どうしてって……そんなの決まっているじゃないですか。先ほども言いましたよね? わたし、アーネストさまと別れる気はありません。それを伝えに来たんです」
「そうか……」
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