旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「よかったです。十二年前は、わたしもまだ子どもで、アーネストさまの隣に立つには相応しくないと思っていたのですが。今なら、大丈夫ですよね?」
 目をきらきらと輝かせて、無垢な赤ん坊のように寄り添ってくる。十二年前よりも幼く感じるのはなぜだろう。
「そうだな。思っていたよりも美しくなって、驚いている」
 それはもう、直視できないほどに。だけど、どこか見え隠れする幼さが、アーネストの心を刺激するのだ。
「アーネストさまも、以前よりも格好良くなっていて、ドキドキします」
 そのように褒められるのも、アーネストにとしては慣れていない。心がむず痒くなる。
「……オレリア。すまなかった」
 自然と謝罪の言葉が口から漏れ出た。何に対する謝罪なのかすらわからないくらい、心当たりはたくさんあるし、こんなたった一言で許されるとも思っていない。
 だけど彼女は首を傾げる。まるで、心当たりなどないというかのように。
「どうして謝るのですか? 謝るのはわたしのほうです。アーネストさまとの思い出が欲しくて、偽りの名を遣ってアーネストさまに抱かれました」
 そうさせてしまったのもアーネストの責任である。そこまで彼女を追い詰めてしまったのだ。胸が軋み、おもわずオレリアを抱きしめた。
「アーネストさま。苦しいです」
「す、すまない」
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