旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「十五周年記念式典ですか?」
「そうだ」
「建国を祝う式典だなんて、今まで開かれたことがなかったと思うのですが」
 それはトラゴス国との件があったためである。近隣諸国のトップを招待して、のんきに式典なんて開いている場合ではなかった。そこの警備に兵をまわして、ガイロの街の守りが薄手になれば、ここぞとばかりにトラゴス国は攻め入ってきたにちがいない。
 だからって式典の警備をおろそかにすれば、相手の思うつぼである。
 しかし、それをオレリアに伝えるつもりはなかった。
「そうだな。だから十五周年で盛大にやりたいのだろう」
「アーネストさまも出席されるのですか?」
「だからダスティンがこれを寄越したのだろうな」
 先ほどから何度目のため息かもわからない。肩を上下させてから、その手紙をぱさっとテーブルの上に置くと、オレリアがアーネストの顔を下から見上げてきた。
 ほんわかと甘い香りがして、あまりにもの至近距離にドキリとする。その顔は真剣そのもので、今までの幼さがすべて消えたような表情でもあった。
「アーネストさま。これからは一緒にいてくださいますか?」
 先ほども別れるつもりはないと、意思確認をし合ったばかりだ。となれば、一緒にいることになる。
「あ、あぁ……」
 戸惑いながら答えると、また彼女の表情はゆるんだ。
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