旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
アーネストがそのような暮らしをしていた理由をデンスはそれとなく教えてくれたが、アーネストの両親には、一度も会ったことがない。マルガレットも、ダスティンと結婚してからは両親に会っていないとのこと。特に情勢が不安定なこともあり、マルガレットのほうからも、無理して会いに来る必要はないと手紙を送っていたらしい。
マルガレットの話を聞いていた限りでは、親子関係が悪いわけでもなさそうだ。
母親の記憶すらあやふやで、家族と家族らしい関係を築いたことのないオレリアにとっては、よくわからない話でもあり、羨ましいとすら思っていた。
だからこそ、アーネストが家族になってくれたあの日、オレリアにとっては世界が変わった日でもあった。
「この料理……」
夕食に、ミルコ族の伝統的な野菜料理を出したところ、目の前のアーネストの手の動きが止まった。
「どうかされました?」
「……いや。食堂で、これを食べたことがあった。あれも、お前が作ったんだな」
「そうです。いつか、アーネストさまに食べてもらいたくて。シャトランさまに教えていただきました。」
アーネストは料理をゆっくりと咀嚼しながら、味わっている。彼の目尻に浮かぶしわが、オレリアの料理を美味しいと言っているように見えた。
だけどアーネストははっきりと「美味しい」とは言わない。
「お前があの食堂にいるとは思ってもいなかったからな。髪の色も……染めたのか?」
マルガレットの話を聞いていた限りでは、親子関係が悪いわけでもなさそうだ。
母親の記憶すらあやふやで、家族と家族らしい関係を築いたことのないオレリアにとっては、よくわからない話でもあり、羨ましいとすら思っていた。
だからこそ、アーネストが家族になってくれたあの日、オレリアにとっては世界が変わった日でもあった。
「この料理……」
夕食に、ミルコ族の伝統的な野菜料理を出したところ、目の前のアーネストの手の動きが止まった。
「どうかされました?」
「……いや。食堂で、これを食べたことがあった。あれも、お前が作ったんだな」
「そうです。いつか、アーネストさまに食べてもらいたくて。シャトランさまに教えていただきました。」
アーネストは料理をゆっくりと咀嚼しながら、味わっている。彼の目尻に浮かぶしわが、オレリアの料理を美味しいと言っているように見えた。
だけどアーネストははっきりと「美味しい」とは言わない。
「お前があの食堂にいるとは思ってもいなかったからな。髪の色も……染めたのか?」