旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
 室内にはアーネストとジョアンがいた。二人で書類を確認して、ああでもない、こうでもないと言っていたのだろう。以前は山のようにあった書類も、今ではその山が三分の一にまで減っていた。
「アーネストさま。これは、いったいなんですか?」
 バンと机の上にたたき付けたのは、先ほど見つけた女性ものの首飾りである。
「お前……これを、どこから……」
 目にした瞬間、アーネストは慌て始める
「荷物を片づけておりましたら、衣装部屋の奥から出てきました。どこからどう見ても、女性もののようですが?」
「え? 閣下……まだ、お渡ししてなかったんですか?」
 どうやらジョアンもこの首飾りの存在を知っていたようだ。
 オレリアはジョアンもギロリと睨んだ。
「やっぱり、アーネストさまには、他に思う女性がいらっしゃるのですね? わたしがこうやって押しかけてきたから、仕方なく……」
「ち、ちがう……」
 そうやって詰め寄られて、「はい、そうです」なんて答える男がいるだろうか。
 バンと机を両手で叩き、オレリアは身を乗り出す。
「ジョアンさんも共犯なんですか? アーネストさまには他に好きな女性がいらっしゃるんでしょ? それを知っていて、協力したんですよね?」
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