旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
 今日のアーネストは軍のクワイン将軍ではなく、ただの男アーネストとして街を歩いている。もちろんオレリアも、クワイン将軍の妻ではなく、ただのオレリアなのだ。
「あっ……はい。アーネスト……?」
 呼び方一つであるのに、心臓が飛び跳ねるくらいに気恥ずかしい。だけど、一気に二人の距離が近づいた感じもした。
「きゃっ」
 そのとき、オレリアの隣を元気な子どもたちが勢いよく駆けていった。彼らの目的地も広場のようだ。後ろから、母親と思われる女性が追いかけている。
「大丈夫か? 危ないな」
「大丈夫です。あの子たちの声に驚いただけですから」
 子どもたちとぶつかったわけでもない。ぼんやりとアーネストとのことを考えていたから、彼らの元気な声で現実に引き戻されただけ。それをアーネストには知られたくなくて、少しだけ戸惑った。
「そうか。子どもは元気だな」
 アーネストの口が「子ども」と言っただけで、オレリアは強く意識してしまう。
 いつかはアーネストとの子を望んでもいいのだろうか――
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