旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
後ろから腰をかがめて、オレリアと目の高さを合わせたアーネストの声は、すぐ側で聞こえた。
「お金を投げています」
「投げ銭と呼ばれるものだ。あの道化師の演技がよかった、よいものを見せてもらったという、感謝の気持ちを渡しているんだ。お金以外にも、食べ物を渡す者もいる」
「だから、わたしたちはここで演技を見る前にお金を払っていないのですね?」
「そうだな。後払いみたいなものか? つまらなかったら払わない。その分、とてもいい演技であれば、それに見合った対価を払う」
アーネストも不意に小銭を取り出し、ポーンと投げた。道化師は、金が飛んできた方向に向かって、ペコペコと頭を下げているが、頭を下げるたびに、ぽん、ぽんと手のひらに花が生まれるから、さらに小銭が投げ込まれる。
「すごいですね。魔法みたいです」
「ほら、次の演目が始まる」
拍手と投げ銭が落ち着いたところで、道化師はおもむろに剣を取り出した。それは細くて長い剣である。これから剣術でも披露するのだろうか。
「きゃ~」
悲鳴のような歓声があがる。
「え?」
オレリアは驚いて振り向き、アーネストの存在を確かめる。彼の手を探り、力強く握りしめる。
道化師は天を見ながら、その剣をするすると飲み込んでいくのだ。
「お金を投げています」
「投げ銭と呼ばれるものだ。あの道化師の演技がよかった、よいものを見せてもらったという、感謝の気持ちを渡しているんだ。お金以外にも、食べ物を渡す者もいる」
「だから、わたしたちはここで演技を見る前にお金を払っていないのですね?」
「そうだな。後払いみたいなものか? つまらなかったら払わない。その分、とてもいい演技であれば、それに見合った対価を払う」
アーネストも不意に小銭を取り出し、ポーンと投げた。道化師は、金が飛んできた方向に向かって、ペコペコと頭を下げているが、頭を下げるたびに、ぽん、ぽんと手のひらに花が生まれるから、さらに小銭が投げ込まれる。
「すごいですね。魔法みたいです」
「ほら、次の演目が始まる」
拍手と投げ銭が落ち着いたところで、道化師はおもむろに剣を取り出した。それは細くて長い剣である。これから剣術でも披露するのだろうか。
「きゃ~」
悲鳴のような歓声があがる。
「え?」
オレリアは驚いて振り向き、アーネストの存在を確かめる。彼の手を探り、力強く握りしめる。
道化師は天を見ながら、その剣をするすると飲み込んでいくのだ。