旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
 建物の影から、みすぼらしいローブを羽織った三人の人物が姿を現す。フードも深くかぶり、顔はわからない。男か女かもわからない。だけど、体格からなんとなく男性だろうと察する。
 彼らは腰から何かを引き抜いた。太陽の光をきらりと反射させるそれは、刃。三人とも、ご丁寧にアーネストに剣先を向けていた。
「オレリア……」
 視線を彼女には向けず、静かに幾言かだけ告げる。彼女が声をあげずに頷いたのを感じ取った。
 彼女は出会ったときから、聡い子だった。度胸もある。そして何よりも、粘り強い。
「ハバリーの闘神さんよ」
 相手は剣を向けたまま、間合いを詰めてくる。一対三であれば、やはりアーネストのほうが不利である。
 アーネストも腰ベルトにかけていた短剣を手にする。それはちょうど上着で隠れていて、誰もアーネストが短剣を忍ばせていただなんて思わないだろう。
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