旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
アーネストの周囲だけ、ひゅんと空気の流れが乱れる。三人目の捨て駒が、アーネストの背後に向かって剣を振り上げたのだ。彼は振り返りもせずに、手にしていた長剣を後ろに突き刺した。
醜い声が響く。
「さすが闘神のクワイン将軍ですわね。そうやって顔色一つ変えずに、陛下と王太子殿下の首も落としましたね」
え?
オレリアの憂いた唇は、声を出さずにその形を作った。
「やはり、オレリア様はご存知なかったのですね? クワイン将軍がマッシマ公爵と手を組んで、陛下と殿下を討ったのですよ。まったくオレリア様。なんのために、あなた様をハバリー国へ嫁がせたと思っているのですか? あの男を殺すためですよ」
オレリアは、いやいやと駄々を子どものように、激しく首を振る。
それでもプレール侯爵夫人は言葉を続ける。
「あなたをハバリーに捧げて、ハバリーを落とそうとしたのに……。あの男がすぐに兵を挙げたから、失敗に終わりましたけれども」
アーネストは鋭くプレール侯爵夫人を睨みつけた。
オレリアは聞きたくないと、首を振る。あまりにも激しいものだから、風にあおられて帽子が飛ばされ、夜明けのような明るい髪が広がった。
瞬間、プレール侯爵夫人に隙が生まれる。
――ビィイイイイイイ!
呼子笛の音が響く。
それは先ほど、アーネストがオレリアに手渡したもの。何かあったら、これを思いっきり吹くようにと伝えたのだ。
醜い声が響く。
「さすが闘神のクワイン将軍ですわね。そうやって顔色一つ変えずに、陛下と王太子殿下の首も落としましたね」
え?
オレリアの憂いた唇は、声を出さずにその形を作った。
「やはり、オレリア様はご存知なかったのですね? クワイン将軍がマッシマ公爵と手を組んで、陛下と殿下を討ったのですよ。まったくオレリア様。なんのために、あなた様をハバリー国へ嫁がせたと思っているのですか? あの男を殺すためですよ」
オレリアは、いやいやと駄々を子どものように、激しく首を振る。
それでもプレール侯爵夫人は言葉を続ける。
「あなたをハバリーに捧げて、ハバリーを落とそうとしたのに……。あの男がすぐに兵を挙げたから、失敗に終わりましたけれども」
アーネストは鋭くプレール侯爵夫人を睨みつけた。
オレリアは聞きたくないと、首を振る。あまりにも激しいものだから、風にあおられて帽子が飛ばされ、夜明けのような明るい髪が広がった。
瞬間、プレール侯爵夫人に隙が生まれる。
――ビィイイイイイイ!
呼子笛の音が響く。
それは先ほど、アーネストがオレリアに手渡したもの。何かあったら、これを思いっきり吹くようにと伝えたのだ。