旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
授業の合間にぼそぼそとこぼすプレール侯爵夫人の言葉を要約すると、ハバリー国をトラゴス大国に取り込むためには、人質として誰かを嫁がせるとか。その誰かが誰になるのかで、国の偉い人たちは頭を抱えているとか。
第一候補は、王女であるミレイアだろう。
だがミレイアはそれを拒絶している。となれば、マッシマ公爵令嬢ではどうかという意見もあるようだ。マッシマ公爵は、現国王の弟にあたるため、マッシマ公爵令嬢とミレイアは従姉妹同士。その従姉妹たちが、互いに互いを譲らないらしい。身分的にはミレイアのほうが上であるが、マッシマ公爵令嬢もなかなか負けていない。
だからミレイアの機嫌はよくなく、周囲に当たり散らす。それはマッシマ公爵令嬢も同じで、それらの被害に合うのは彼女たちよりも下の身分のもの。
どうやらプレール侯爵夫人もその一人のようだった。そうなれば、プレール侯爵夫人にも鬱憤はたまり、そのはけ口がオレリアとなる。
最近、彼女の鞭捌きが激しいのはそれが理由であった。
――トントントン
珍しく扉が叩かれた。
オレリアがこの部屋にいるときに、誰かが訪れたことなど今まで一度もない。プレール侯爵夫人は忌々しく顔をゆがませてから、扉を開けた。
オレリアは扉に背を向けて書き取りをしているため、誰がやってきたのかはわからない。ただ、ぼそぼそとした話し声が聞こえてくる。
第一候補は、王女であるミレイアだろう。
だがミレイアはそれを拒絶している。となれば、マッシマ公爵令嬢ではどうかという意見もあるようだ。マッシマ公爵は、現国王の弟にあたるため、マッシマ公爵令嬢とミレイアは従姉妹同士。その従姉妹たちが、互いに互いを譲らないらしい。身分的にはミレイアのほうが上であるが、マッシマ公爵令嬢もなかなか負けていない。
だからミレイアの機嫌はよくなく、周囲に当たり散らす。それはマッシマ公爵令嬢も同じで、それらの被害に合うのは彼女たちよりも下の身分のもの。
どうやらプレール侯爵夫人もその一人のようだった。そうなれば、プレール侯爵夫人にも鬱憤はたまり、そのはけ口がオレリアとなる。
最近、彼女の鞭捌きが激しいのはそれが理由であった。
――トントントン
珍しく扉が叩かれた。
オレリアがこの部屋にいるときに、誰かが訪れたことなど今まで一度もない。プレール侯爵夫人は忌々しく顔をゆがませてから、扉を開けた。
オレリアは扉に背を向けて書き取りをしているため、誰がやってきたのかはわからない。ただ、ぼそぼそとした話し声が聞こえてくる。