旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「いや。俺がお前を軽蔑することはない。むしろ、俺が軽蔑されるべきだな」
「どうして?」
オレリアが尋ねると、アーネストは困ったように口元を手で覆った。それでも紅茶の芳ばしいにおいが、ふんわりとアーネストの鼻を刺激する。
ふっと席を立ったアーネストは、オレリアの隣に座り直し、その顔をまじまじと見つめる。
「俺は……お前と知らずにお前を抱いた……」
「ですが。アーネストさまは、こちらに来てから女性を抱いていなかったのでしょう?」
オレリアがさらりと言うと、アーネストはふるふると肩を震わせる。
「な、なぜ。お前が、それを知っている!!」
顔を真っ赤にしたアーネストは、あたふたし始めた。オレリアはくすっと笑って、先を続ける。
「ジョアンさんが教えてくださいましたので。そういった意味でも、いろいろと心配されていたようですよ?」
アーネストは「あいつめ」とぼそりと呟く。
「あのとき、アーネストさまがわたしを抱いてくださったのは、リリーだからですか? それとも、リリーを通して誰かを見ていたからですか?」
オレリアはアーネストを見上げた。彼は観念したかのように目を伏せてから、オレリアを抱き寄せる。
「それは……きっと、お前だったからだろうな……。あのとき、リリーに手を出しては駄目だと頭ではわかっていた。だけど、本能がお前を求めていた。あれを浮気だというのであれば、そう思ってもらってもかまわないし、怒ってもいい」
オレリアもアーネストを騙した。そしてあのとき、アーネストはオレリアと別れたがっていた、ように見せかけていた。
さまざまな条件が重なっての一夜。
「どうして?」
オレリアが尋ねると、アーネストは困ったように口元を手で覆った。それでも紅茶の芳ばしいにおいが、ふんわりとアーネストの鼻を刺激する。
ふっと席を立ったアーネストは、オレリアの隣に座り直し、その顔をまじまじと見つめる。
「俺は……お前と知らずにお前を抱いた……」
「ですが。アーネストさまは、こちらに来てから女性を抱いていなかったのでしょう?」
オレリアがさらりと言うと、アーネストはふるふると肩を震わせる。
「な、なぜ。お前が、それを知っている!!」
顔を真っ赤にしたアーネストは、あたふたし始めた。オレリアはくすっと笑って、先を続ける。
「ジョアンさんが教えてくださいましたので。そういった意味でも、いろいろと心配されていたようですよ?」
アーネストは「あいつめ」とぼそりと呟く。
「あのとき、アーネストさまがわたしを抱いてくださったのは、リリーだからですか? それとも、リリーを通して誰かを見ていたからですか?」
オレリアはアーネストを見上げた。彼は観念したかのように目を伏せてから、オレリアを抱き寄せる。
「それは……きっと、お前だったからだろうな……。あのとき、リリーに手を出しては駄目だと頭ではわかっていた。だけど、本能がお前を求めていた。あれを浮気だというのであれば、そう思ってもらってもかまわないし、怒ってもいい」
オレリアもアーネストを騙した。そしてあのとき、アーネストはオレリアと別れたがっていた、ように見せかけていた。
さまざまな条件が重なっての一夜。