旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「もし、あの場にいたのがリリーでもなく、わたしでもなく。他の女性だったとして。その方がものすごく魅力的な女性だったとしたら、どうされていました?」
「いくらあのようなときであったとしても、お前じゃない女は抱けない」
 オレリアとしてはその答えだけで十分だった。
 他人からなんと言われようが、あの一夜は互いに気持ちが通じ合っていた。少なくともオレリアはそう思っている。
「アーネストさま。一つだけ、わたしのわがままをきいてください」
「なんだ? お前のわがままぐらい、一つだけと言わず、いくつでもきいてやる」
 その言い方はデンスを思い出させるものがある。初めはオレリアに攻撃的だったデンスだが、アーネストがいなくなったとたん、ころっと手のひらを返してきて、オレリアをとことん甘やかした。
 オレリアは、ほんのりと頬に熱をためながら、言葉を続ける。
「わたし。アーネストさまとの赤ちゃんが欲しいんですけれども」
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