旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「これも、アーネストさまの贈りものです」
 実は、オレリアも下着をつけるべきか否か、悩んだのだ。だけど、マルガレットの手紙には「ドレスも下着も脱がせたいのよ」と書いてあったので、ここぞとばかりにつけてみた。胸と腰の脇をリボンで結ぶタイプの下着は、それを解いてしまえば隠すべきところが見えてしまう。
「そうか……」
 そう言っている間に、彼は器用に下着のリボンも解いてしまった。
 首筋に舌が這わされ、くすぐったさと恥ずかしさで首をすくめる。
 わけのわからないうちに、ドレスも下着も脱がされ、素肌を外気が覆う。
「いやではないか?」
「は、はい……」
 お酒のせいもあってか、ドクドクと全身に熱い血が流れている感じがした。
 彼に触れられるところはどこもかしこも気持ちがよい。
 好きな人と隙間なく重なることが、これほど心地よいものだとは知らなかった。
「オレリア……」
 熱に浮かされたアーネストが、オレリアの名を呼ぶ。
「アーネストさま……」
 彼の名を口にできる喜び。十二年もの間、ずっと手紙に書き続けたその名前。
 やはり紙に書くのと、言葉にするのでは、伝わり方が違うような気がする。
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