旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「オレリア様」
プレール侯爵夫人が、オレリアをこのように呼ぶのは珍しい。まさしく晴天の霹靂ともいえるような状況である。
「陛下がお呼びとのことです。お待たせしないように、準備をなさってください」
準備も何もない。
「いいですね? 陛下にお会いになられたら、わたくしが教えた通りご挨拶をなさるのですよ?」
オレリアが失敗したら、その責任は教育係のプレール侯爵夫人にのしかかる。だから、鋭い視線で威嚇してくる。
「……はい」
感情を押し殺した声で、返事をする。
迎えに来た兵士とプレール侯爵夫人に連れられ、付属棟から本棟へとうつる。円天井の大広間を抜けてゆるやかにカーブを描く螺旋階段をあがる。ギャラリーを通り抜けた先にある扉を超えるとそこに国王の執務室があった。
オレリアたちをここまで案内してきた兵士が扉を叩き、幾言か告げてから中に入る。
部屋に入った途端、プレール侯爵夫人に小突かれた。ここで挨拶をしろという意味らしい。
すっと片足を引いて腰を下げる。
壁面は書棚で埋め尽くされた部屋。その前にある黒檀の執務用の席には誰もいなかった。
藍白の天井には小さいシャンデリアが二つ、ぶら下がっている。
「悪くはないわね」
顔をあげ、声がしたほうに視線を向けると、血のような色合いの椅子に四人の人物が座っている。
プレール侯爵夫人が、オレリアをこのように呼ぶのは珍しい。まさしく晴天の霹靂ともいえるような状況である。
「陛下がお呼びとのことです。お待たせしないように、準備をなさってください」
準備も何もない。
「いいですね? 陛下にお会いになられたら、わたくしが教えた通りご挨拶をなさるのですよ?」
オレリアが失敗したら、その責任は教育係のプレール侯爵夫人にのしかかる。だから、鋭い視線で威嚇してくる。
「……はい」
感情を押し殺した声で、返事をする。
迎えに来た兵士とプレール侯爵夫人に連れられ、付属棟から本棟へとうつる。円天井の大広間を抜けてゆるやかにカーブを描く螺旋階段をあがる。ギャラリーを通り抜けた先にある扉を超えるとそこに国王の執務室があった。
オレリアたちをここまで案内してきた兵士が扉を叩き、幾言か告げてから中に入る。
部屋に入った途端、プレール侯爵夫人に小突かれた。ここで挨拶をしろという意味らしい。
すっと片足を引いて腰を下げる。
壁面は書棚で埋め尽くされた部屋。その前にある黒檀の執務用の席には誰もいなかった。
藍白の天井には小さいシャンデリアが二つ、ぶら下がっている。
「悪くはないわね」
顔をあげ、声がしたほうに視線を向けると、血のような色合いの椅子に四人の人物が座っている。