旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
ラフォン城にいつもの朝が戻ってきた。華やかな場が夢であったのではないかと思えるくらい、時間は過ぎた。
アーネストの腕の中で眠っていたオレリアは、光を感じて目を開ける。
「おはよう」
目の前にアーネストの顔があった。
昨夜、族長の集まりへと参加したアーネストの帰りを待っていたのに、いつの間にか眠ってしまったようだ。寝台で眠った記憶もないから、彼がここまで連れてきてくれたのだろう。彼が帰ってきたのはなんとなくわかって、彼が机に向かって何かをしていたことにも気がついた。
だけど、眠気には勝てずに、そのままぼんやりと夢の世界へと誘われてしまった。
「おはようございます。起こしてしまいましたか?」
「いや。俺のほうが、ほんの少し先に起きていただけだ。気にするな」
寝起きの目をまぶしそうに細くしたアーネストは、オレリアの頭をやさしくなでる。
「お前の髪は、いつでも手触りがよいな」
「アーネストさまは、出会ったときからこうやって、わたしの頭をなでてくださいました。初めてだったのですよ?」
「ん? 何がだ?」
「お母さま以外に、こうやって誰かに頭をなでてもらうのが」
母親が亡くなってからというもの、トラゴス国にいたときに誰かに頭をなでてもらったことなど一度もない。
「そうか。それは光栄だな……そういえば、オレリアには言ってなかったな。二年前のことだが……」
彼も何かを思い出したのだろう。こうやって、互いに会えなかった時間の話をすることも多くなった。
アーネストの腕の中で眠っていたオレリアは、光を感じて目を開ける。
「おはよう」
目の前にアーネストの顔があった。
昨夜、族長の集まりへと参加したアーネストの帰りを待っていたのに、いつの間にか眠ってしまったようだ。寝台で眠った記憶もないから、彼がここまで連れてきてくれたのだろう。彼が帰ってきたのはなんとなくわかって、彼が机に向かって何かをしていたことにも気がついた。
だけど、眠気には勝てずに、そのままぼんやりと夢の世界へと誘われてしまった。
「おはようございます。起こしてしまいましたか?」
「いや。俺のほうが、ほんの少し先に起きていただけだ。気にするな」
寝起きの目をまぶしそうに細くしたアーネストは、オレリアの頭をやさしくなでる。
「お前の髪は、いつでも手触りがよいな」
「アーネストさまは、出会ったときからこうやって、わたしの頭をなでてくださいました。初めてだったのですよ?」
「ん? 何がだ?」
「お母さま以外に、こうやって誰かに頭をなでてもらうのが」
母親が亡くなってからというもの、トラゴス国にいたときに誰かに頭をなでてもらったことなど一度もない。
「そうか。それは光栄だな……そういえば、オレリアには言ってなかったな。二年前のことだが……」
彼も何かを思い出したのだろう。こうやって、互いに会えなかった時間の話をすることも多くなった。