旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第三話
「そこに座れ」
国王が顎でしゃくった先にある二人がけ用の椅子の隅っこに、オレリアはちょこんと座った。
「縁談だ。もちろん、お前のな」
声が出そうになったが、それを呑み込んだ。ここでオレリアの発言は許されない。黙って話を聞くのみ。
「よかったわね、オレリア」
金色の髪をふんわりと揺らして、姉のミレイアが馬鹿にした様子で笑う。その隣で兄でもある王太子も、にやにやと不気味な笑みを浮かべている。
本来であれば、先に縁談がくるのは姉のミレイアのはずだ。それに今、ミレイアにはハバリー国との縁談があり、彼女がそれをよく思っていないことをオレリアは知っている。にもかかわらず、ミレイアの機嫌がいいのが気になった。
「お前には、ハバリー国のクワイン将軍に嫁いでもらう。ハバリー国の建国に一役買った人物だ。闘神とも呼ばれ、国王からの信頼も厚い。それに、あの荒れ狂う蛮族たちをまとめているのも、国王よりもクワイン将軍という話だ」
国王の声に、他の三人は薄ら笑いを浮かべている。
「ハバリー国は建国されて二年だが、さまざまな部族から成り立っている国であるため、勢いがある。ハバリー国と協定を結んだ国も多い。だから我が国は、王女を差し出すことにした。トラゴス大国の王女の嫁ぎ先としては、十分だろう? 国内の寂れた貴族に嫁ぐよりも、恵まれているとは思わないか?」
政略結婚と呼ばれるものである。オレリアの母親だって、それのせいでこのトラゴス大国に嫁いできたのだ。ただし、側妃として。
オレリアの母親は、シーニーという小さな国の王女であった。今となっては、ハバリー国よりも小さな国になっているかもしれない。 シーニー国は花によって生計を立てている小さな国。生花はもちろんのこと、花の加工品、そして花の蜜。それらを売って資金にしていた。
国王が顎でしゃくった先にある二人がけ用の椅子の隅っこに、オレリアはちょこんと座った。
「縁談だ。もちろん、お前のな」
声が出そうになったが、それを呑み込んだ。ここでオレリアの発言は許されない。黙って話を聞くのみ。
「よかったわね、オレリア」
金色の髪をふんわりと揺らして、姉のミレイアが馬鹿にした様子で笑う。その隣で兄でもある王太子も、にやにやと不気味な笑みを浮かべている。
本来であれば、先に縁談がくるのは姉のミレイアのはずだ。それに今、ミレイアにはハバリー国との縁談があり、彼女がそれをよく思っていないことをオレリアは知っている。にもかかわらず、ミレイアの機嫌がいいのが気になった。
「お前には、ハバリー国のクワイン将軍に嫁いでもらう。ハバリー国の建国に一役買った人物だ。闘神とも呼ばれ、国王からの信頼も厚い。それに、あの荒れ狂う蛮族たちをまとめているのも、国王よりもクワイン将軍という話だ」
国王の声に、他の三人は薄ら笑いを浮かべている。
「ハバリー国は建国されて二年だが、さまざまな部族から成り立っている国であるため、勢いがある。ハバリー国と協定を結んだ国も多い。だから我が国は、王女を差し出すことにした。トラゴス大国の王女の嫁ぎ先としては、十分だろう? 国内の寂れた貴族に嫁ぐよりも、恵まれているとは思わないか?」
政略結婚と呼ばれるものである。オレリアの母親だって、それのせいでこのトラゴス大国に嫁いできたのだ。ただし、側妃として。
オレリアの母親は、シーニーという小さな国の王女であった。今となっては、ハバリー国よりも小さな国になっているかもしれない。 シーニー国は花によって生計を立てている小さな国。生花はもちろんのこと、花の加工品、そして花の蜜。それらを売って資金にしていた。