旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第四話
トラゴス国を出るときは、華やかなドレスを着た。しかし、それは見送る者への演出であって、移動中は動きやすく簡素なドレスを着る。
そして国を出てから十日目の朝。出立時と同じドレスを身につけた。
ハバリー国へと入ったのは五日ほど前。関所を抜けて、ハバリー国の国境の街、ガイロの街に入った。すでに連絡はあったようで、ここで手厚く歓迎され、馬車もトラゴス国のものからハバリー国のものへと乗り換えた。
「閣下は、首都でお待ちです」
そう言われたのは、ガイロの街を訪れたとき。
閣下――それはオレリアの夫となるクワイン将軍を指す。
クワイン将軍はミルコ族と呼ばれる部族の男であり、ミルコ族は現首都部サランを拠点として生活をしていた。そのため、彼はサランにいるのだろうと、オレリアでも予想ができた。
ただ、そう告げた彼の視線が、メーラを捕らえていたのが気になった。
首都サランに入り、王城が近づくにつれ、オレリアの心臓も馬車と同じようにゴトゴトと音を立て始める。
「メーラ。どうしましょう。ものすごく、緊張してきたわ……」
口から心臓が飛び出てしまうのではと思えるほど、先ほどから心臓がうるさく動いている。
「そうですね。見知らぬ場所ですから。ですが、今までを思い出してください。ハバリー国の方は、優しい方のようですね。私も、たいへんよくしてもらいましたから」
メーラの言うとおりである。休憩として予定されていた屋敷や宿に足を運ぶと、オレリアだけでなくメーラも親切なもてなしを受けたのだ。
「ハバリー国は、さまざまな部族と文化の国とは聞いておりましたが。本質はどこの部族も同じなのでしょうね」
だから、クワイン将軍も優しいはずと、メーラは言いたげだった。
そして国を出てから十日目の朝。出立時と同じドレスを身につけた。
ハバリー国へと入ったのは五日ほど前。関所を抜けて、ハバリー国の国境の街、ガイロの街に入った。すでに連絡はあったようで、ここで手厚く歓迎され、馬車もトラゴス国のものからハバリー国のものへと乗り換えた。
「閣下は、首都でお待ちです」
そう言われたのは、ガイロの街を訪れたとき。
閣下――それはオレリアの夫となるクワイン将軍を指す。
クワイン将軍はミルコ族と呼ばれる部族の男であり、ミルコ族は現首都部サランを拠点として生活をしていた。そのため、彼はサランにいるのだろうと、オレリアでも予想ができた。
ただ、そう告げた彼の視線が、メーラを捕らえていたのが気になった。
首都サランに入り、王城が近づくにつれ、オレリアの心臓も馬車と同じようにゴトゴトと音を立て始める。
「メーラ。どうしましょう。ものすごく、緊張してきたわ……」
口から心臓が飛び出てしまうのではと思えるほど、先ほどから心臓がうるさく動いている。
「そうですね。見知らぬ場所ですから。ですが、今までを思い出してください。ハバリー国の方は、優しい方のようですね。私も、たいへんよくしてもらいましたから」
メーラの言うとおりである。休憩として予定されていた屋敷や宿に足を運ぶと、オレリアだけでなくメーラも親切なもてなしを受けたのだ。
「ハバリー国は、さまざまな部族と文化の国とは聞いておりましたが。本質はどこの部族も同じなのでしょうね」
だから、クワイン将軍も優しいはずと、メーラは言いたげだった。