旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「わぁっ……!」
 思わず感嘆の声が漏れ出たところで、口を閉ざす。はしたない真似をしてしまった。
「ようこそ、ハバリー国へ。ここがラフォン城だ。これから、あなたが住まう場所となる」
 挨拶をしていないことを思い出し、オレリアは手を離してスカートの裾を持ち上げる。
「お目にかかれて光栄です。トラゴス国第二王女オレリアと申します。このたびは、この縁談を受けてくださり、ありがとうございます」
 義母から教え込まれた文言である。
「はじめまして。俺がアーネスト・クワインだ。先ほどは、間違えてしまい申し訳なかった。王女殿下は、十八歳と聞いていたのでな」
 だから、このような子どもだとは思わなかった。そう、聞こえたような気がした。
「気分を害されたのなら、申し訳ない。そういう意味ではない」
 では、どういう意味か問いたかったが、それを聞いてどうしたいのか、オレリア自身がわからなかった。
「長旅で疲れただろう。部屋に案内しよう」
「お気遣い、痛み入ります」
 その言葉に、アーネストは眉間にしわを作った。
 言い方を間違えてしまったのだろうかと、オレリアは焦ったが、彼は怒っているわけではなさそうだ。
 オレリアの手を取りながら、ゆっくりと歩いてくれる。
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