旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第六話
食堂には、カトラリーの音が静かに響いていた。大人が五人もいるというのに、誰も喋らない。黙々と食事を口に運ぶだけ。
だが、この空気に嫌気がさしたダスティンが「くそったれが」と暴言を吐く。
「親父。子ども相手にムキになってるんだよ」
「ふん。お前はあれを見て、何も感じないのか? ハバリー国は馬鹿にされたのだぞ? ここに来る予定の花嫁は、少なくともあんな子どもではなかったはずだ。親書には十八歳と書いてなかったか? あれはどこからどう見ても十八には見えないだろう」
「八歳だ」
沈黙を貫いていたアーネストがそれを破った。
「アーネストはいいのか? 馬鹿にされたままで」
族長は目を充血させている。よっぽど、腹が立ったのだろう。
「俺は馬鹿にされたとは思っていない。少なくとも、彼女の見た目は子どもだが、考えは俺たちよりもしっかりしている。自分がここに来た意味を、ここにいる誰よりも理解しているだろう」
それに……と言いかけて、アーネストはグラスを煽った。
彼女の小さな手を繋いだとき、その手の皮がミルコ族の女性と同じ感じがしたのだ。少なくともあの手は、土いじりの大変さを知っている手である。
「仮に、オレリアをトラゴスへ返してみろ。それを理由に、大国は兵をあげる。そうならないために俺がこの縁談を受けたのを、族長も知っているのでは?」
「そうだよ、親父。本来であれば私に来た縁談。だけど、私はすでにマルガレットと結婚しているし、ハバリー国は一夫多妻を認めていない。だからアーネストを相手にと言ったのは親父だろうが」
だが、この空気に嫌気がさしたダスティンが「くそったれが」と暴言を吐く。
「親父。子ども相手にムキになってるんだよ」
「ふん。お前はあれを見て、何も感じないのか? ハバリー国は馬鹿にされたのだぞ? ここに来る予定の花嫁は、少なくともあんな子どもではなかったはずだ。親書には十八歳と書いてなかったか? あれはどこからどう見ても十八には見えないだろう」
「八歳だ」
沈黙を貫いていたアーネストがそれを破った。
「アーネストはいいのか? 馬鹿にされたままで」
族長は目を充血させている。よっぽど、腹が立ったのだろう。
「俺は馬鹿にされたとは思っていない。少なくとも、彼女の見た目は子どもだが、考えは俺たちよりもしっかりしている。自分がここに来た意味を、ここにいる誰よりも理解しているだろう」
それに……と言いかけて、アーネストはグラスを煽った。
彼女の小さな手を繋いだとき、その手の皮がミルコ族の女性と同じ感じがしたのだ。少なくともあの手は、土いじりの大変さを知っている手である。
「仮に、オレリアをトラゴスへ返してみろ。それを理由に、大国は兵をあげる。そうならないために俺がこの縁談を受けたのを、族長も知っているのでは?」
「そうだよ、親父。本来であれば私に来た縁談。だけど、私はすでにマルガレットと結婚しているし、ハバリー国は一夫多妻を認めていない。だからアーネストを相手にと言ったのは親父だろうが」