旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「……閣下」
慌てた様子の兵が一人、駆け寄ってきた。彼は何かをアーネストの耳元で伝えたが、それはオレリアには聞こえなかった。
「そうか……わかった。すぐに対処する。お前たちは持ち場に戻れ」
「はい。祝いの場であるのに、このようなこと……申し訳ありません」
そう言った兵は、はっとした様子で祝いの言葉を口にする。
「閣下。このたびはご結婚、おめでとうございます」
「……ありがとう」
オレリアの心には、わけのわからないもやっとした気持ちが生まれた。多分、今の話はよくない話。そんな気がした。
抱かれたまま、離れの部屋へと入った。いつもであればメーラがいるのに、今日にかぎって彼女がいない。オレリアは、そっと長椅子の上に下ろされた。
「今日は、疲れただろう?」
アーネストは、そうやって常に気遣ってくれる。
「そうですね。とても緊張しました。わたしは、アーネストさまの花嫁として相応しい立ち居振る舞いができましたでしょうか?」
いつもプレール侯爵夫人から言われていた。
トラゴス国の王女として相応しい立ち居振る舞いを――
そう言われていただけで、王女のような暮らしができたわけではない。まして、オレリアがその暮らしを望んでいたわけでもない。
「アーネストさま。何かありましたか?」
「何か、とは?」
慌てた様子の兵が一人、駆け寄ってきた。彼は何かをアーネストの耳元で伝えたが、それはオレリアには聞こえなかった。
「そうか……わかった。すぐに対処する。お前たちは持ち場に戻れ」
「はい。祝いの場であるのに、このようなこと……申し訳ありません」
そう言った兵は、はっとした様子で祝いの言葉を口にする。
「閣下。このたびはご結婚、おめでとうございます」
「……ありがとう」
オレリアの心には、わけのわからないもやっとした気持ちが生まれた。多分、今の話はよくない話。そんな気がした。
抱かれたまま、離れの部屋へと入った。いつもであればメーラがいるのに、今日にかぎって彼女がいない。オレリアは、そっと長椅子の上に下ろされた。
「今日は、疲れただろう?」
アーネストは、そうやって常に気遣ってくれる。
「そうですね。とても緊張しました。わたしは、アーネストさまの花嫁として相応しい立ち居振る舞いができましたでしょうか?」
いつもプレール侯爵夫人から言われていた。
トラゴス国の王女として相応しい立ち居振る舞いを――
そう言われていただけで、王女のような暮らしができたわけではない。まして、オレリアがその暮らしを望んでいたわけでもない。
「アーネストさま。何かありましたか?」
「何か、とは?」