旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
第九話
オレリアが呆然と長椅子に座っていると、ぷんすこと怒っているマルガレットが戻ってきた。
「オレリア。今、あの人の部屋でみんなが集まっているの。歩ける?」
「は、はい……」
まだ、頭の中がふわふわとしていた。先ほどの手紙の一文を忘れられない。
――離縁してください。
どうして? なぜ?
その気持ちがオレリアの心をがんじがらめに捕らえている。
胸の奥が痛くて、ドクドクと手足の先まで血流が跳ねた。
「……リア、オレリア、オレリア!」
マルガレットから名を呼ばれて、顔をあげた。
「オレリア、大丈夫か?」
穏やかな男性の声は、ダスティンのものだ。
いつの間にか、ダスティンの執務室へとやってきたらしい。葡萄酒色の絨毯が印象に残る部屋だから、間違いない。
「はい……っ……」
口を開けた瞬間、目頭が熱くなり、涙が勝手に溢れてきた。
「まあ、まあ、オレリア……」
そう言って背中をさすり始めたのはシャトランである。オレリアは、マルガレットとシャトランの間に座っていたが、いつ座ったのかという記憶もない。
「オレリア。今、あの人の部屋でみんなが集まっているの。歩ける?」
「は、はい……」
まだ、頭の中がふわふわとしていた。先ほどの手紙の一文を忘れられない。
――離縁してください。
どうして? なぜ?
その気持ちがオレリアの心をがんじがらめに捕らえている。
胸の奥が痛くて、ドクドクと手足の先まで血流が跳ねた。
「……リア、オレリア、オレリア!」
マルガレットから名を呼ばれて、顔をあげた。
「オレリア、大丈夫か?」
穏やかな男性の声は、ダスティンのものだ。
いつの間にか、ダスティンの執務室へとやってきたらしい。葡萄酒色の絨毯が印象に残る部屋だから、間違いない。
「はい……っ……」
口を開けた瞬間、目頭が熱くなり、涙が勝手に溢れてきた。
「まあ、まあ、オレリア……」
そう言って背中をさすり始めたのはシャトランである。オレリアは、マルガレットとシャトランの間に座っていたが、いつ座ったのかという記憶もない。