旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
「彼女はそういうんじゃないですよ。こう、目の保養的な? 会えたらラッキーみたいな。そんな感じです。でも、サランに戻る話があるなら、戻る前に口説いてみたいですね」
ジョアンの言っていることが、アーネストにはさっぱりと理解ができない。
「お前の話は、さっぱりわからん」
「うわ。ひどい。最近の閣下、冷たい。昔はもっとこう、僕の話に付き合ってくれていたのに。年とって、怒りっぽくなったんじゃないですか? もしかして、あれ? 更年期っていうやつ?」
「お前なぁ……」
アーネストが「うるさい」「黙れ」としか言い返さないためか、近頃のジョアンは調子にのっている。
「昔の閣下でしたら、僕を黙らせる屁理屈の一つや二つ、言っていたのに。頭の回転も衰えているんですね」
本当に先ほどから失礼なやつである。だけど、言い返すだけの気力もない。
「うるさい。疲れているだけだ」
ジョアンは不満そうにアーネストを見た。その視線に耐えきれず、アーネストは横を向く。しかしその先にはカウンターがあって、やはり先ほどの女性が忙しなく料理をトレイに並べていた。
ぼんやりとその様子を眺める。理由はない。だけど、つい目で追ってしまう。
あの女性はオレリアと同じくらいの年だろうか。いや、もう少し年上だろう。
オレリアはどうしているだろうか。
そもそも十二年も会っていない。手紙の一つくらい出せただろうにと責められれば、言い訳はできない。だけど、それでよかったのだ。彼女を危険に晒さないためにも、オレリアがアーネストをきっぱりと捨てるためにも。
そこに情があってはならない。
ジョアンの言っていることが、アーネストにはさっぱりと理解ができない。
「お前の話は、さっぱりわからん」
「うわ。ひどい。最近の閣下、冷たい。昔はもっとこう、僕の話に付き合ってくれていたのに。年とって、怒りっぽくなったんじゃないですか? もしかして、あれ? 更年期っていうやつ?」
「お前なぁ……」
アーネストが「うるさい」「黙れ」としか言い返さないためか、近頃のジョアンは調子にのっている。
「昔の閣下でしたら、僕を黙らせる屁理屈の一つや二つ、言っていたのに。頭の回転も衰えているんですね」
本当に先ほどから失礼なやつである。だけど、言い返すだけの気力もない。
「うるさい。疲れているだけだ」
ジョアンは不満そうにアーネストを見た。その視線に耐えきれず、アーネストは横を向く。しかしその先にはカウンターがあって、やはり先ほどの女性が忙しなく料理をトレイに並べていた。
ぼんやりとその様子を眺める。理由はない。だけど、つい目で追ってしまう。
あの女性はオレリアと同じくらいの年だろうか。いや、もう少し年上だろう。
オレリアはどうしているだろうか。
そもそも十二年も会っていない。手紙の一つくらい出せただろうにと責められれば、言い訳はできない。だけど、それでよかったのだ。彼女を危険に晒さないためにも、オレリアがアーネストをきっぱりと捨てるためにも。
そこに情があってはならない。