旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
 アーネストは彼女から捨てられる。それだけひどいことをした。アーネストはオレリアを弄んだひどい男なのだ。
 手紙とともに離縁届を送ったのも、けじめのつもりだった。
 オレリアはアーネストがやったことを知れば、間違いなくアーネストを恨む。だからこれ以上、関係を続けてはならない。
「お待たせしました」
 彼女の明るい声で我に返る。
「おすすめランチ二つになります」
 ほくほくと湯気の立ち上がるスープを目にしたのはいつ以来だろう。
「ごゆっくりどうぞ」
 微笑みと共に言葉を放つ女性の給仕の声が、なぜかアーネストの耳にいつまでも残った。
「ほらほら。閣下。美味しそうじゃないですか。あたたかいうちに食べましょう」
「そうだな」
 アーネストの言葉にジョアンは目を丸くした。
「どうしたんですか? 閣下。急に素直になって。それはそれで、気持ち悪いんですけど」
 相変わらずジョアンは生意気である。
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