旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
だけどそこに、他の女性がいる場合は別である。そうなったときは、潔く引き下がろう。そして、修道院にでもいこう。
「あとは、あれだね。リリーが閣下と二人きりになる機会があって、きちんとお話できればいいんだけどね」
エミの言うとおり。
オレリアは今、食堂で働く娘、リリーとしてここにいる。そのような女性が、いきなりアーネストの執務室に乗り込んだらおかしいだろう。だからって、オレリアとして会いに行けば、アーネストは逃げる。
「まぁ。今日、食堂に来てくれたってことは、これからは定期的に足を運んでくれるだろうよ。焦らずに少しずつ進めるしかないね」
「はい」
焦ってはならない。
オレリアは自分にそう言い聞かせる。
「ごちそうさま」
ジョアンの声が聞こえ、オレリアは慌てて会計へと向かう。
「リリーさん。今日は、夜もいますか?」
支払いをしているのはアーネストである。
「あ、はい。私は、今日は昼と夜を担当していますから。あ……おつりです」
オレリアはアーネストの手のひらの上に、小銭を落とした。瞬間、ちょっとだけ指先が触れた。
「あっ……」
ほんの指先だったのに、そこから伝わるアーネストの熱が懐かしいと感じる。
「す、すみません……」
「あとは、あれだね。リリーが閣下と二人きりになる機会があって、きちんとお話できればいいんだけどね」
エミの言うとおり。
オレリアは今、食堂で働く娘、リリーとしてここにいる。そのような女性が、いきなりアーネストの執務室に乗り込んだらおかしいだろう。だからって、オレリアとして会いに行けば、アーネストは逃げる。
「まぁ。今日、食堂に来てくれたってことは、これからは定期的に足を運んでくれるだろうよ。焦らずに少しずつ進めるしかないね」
「はい」
焦ってはならない。
オレリアは自分にそう言い聞かせる。
「ごちそうさま」
ジョアンの声が聞こえ、オレリアは慌てて会計へと向かう。
「リリーさん。今日は、夜もいますか?」
支払いをしているのはアーネストである。
「あ、はい。私は、今日は昼と夜を担当していますから。あ……おつりです」
オレリアはアーネストの手のひらの上に、小銭を落とした。瞬間、ちょっとだけ指先が触れた。
「あっ……」
ほんの指先だったのに、そこから伝わるアーネストの熱が懐かしいと感じる。
「す、すみません……」