旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
ほくほくと白い湯気が立ち上るスープを一口飲むと、身体がじんわりとあたたかくなる。身体だけではなく、心も満たされる。このスープはどこか懐かしい味がする。
いっとき、食事をするのも億劫になり、何を食べても味がせず、砂を噛んでいるような感じがしたときがあった。
だけど今は違う。たった一口のスープなのに、具材のうま味が溶け込んでいて、スープ全体の味がしっかりと伝わってくる。
(美味いな……)
今日のご飯は、やさしい味がする。
ゆっくりと食事を堪能してから、席を立つ。会計に向かうと、その先にはリリーがいた。
「まだいたのか?」
けして咎めるつもりはないのだが、つい口調が厳しくなってしまうのは、いつもの癖である。
「これが終わったら帰ります。次の人が来てくれたので」
「そうか」
アーネストが紙幣を出すと、彼女はおつりを渡してきた。
「ありがとうございます」
「今日も美味しかった。特に、あのスープが」
普段であれば、アーネストはこのようなことを言葉にしない。だけど、あのスープだけは懐かしくてほっこりしていて、胸がいっぱいになるような味だった。
「本当ですか? あのスープはわたしが作ったんです。よかったです」
花がほころぶような笑顔を見せられ、アーネストの胸がぐずりと疼いた。
いっとき、食事をするのも億劫になり、何を食べても味がせず、砂を噛んでいるような感じがしたときがあった。
だけど今は違う。たった一口のスープなのに、具材のうま味が溶け込んでいて、スープ全体の味がしっかりと伝わってくる。
(美味いな……)
今日のご飯は、やさしい味がする。
ゆっくりと食事を堪能してから、席を立つ。会計に向かうと、その先にはリリーがいた。
「まだいたのか?」
けして咎めるつもりはないのだが、つい口調が厳しくなってしまうのは、いつもの癖である。
「これが終わったら帰ります。次の人が来てくれたので」
「そうか」
アーネストが紙幣を出すと、彼女はおつりを渡してきた。
「ありがとうございます」
「今日も美味しかった。特に、あのスープが」
普段であれば、アーネストはこのようなことを言葉にしない。だけど、あのスープだけは懐かしくてほっこりしていて、胸がいっぱいになるような味だった。
「本当ですか? あのスープはわたしが作ったんです。よかったです」
花がほころぶような笑顔を見せられ、アーネストの胸がぐずりと疼いた。