旦那さま、お会いできて光栄です~12年間放置された妻ですが、絶対に離縁はいたしません!
その悲鳴を聞いて、一人の女性の顔が思い浮かぶ。いやな予感がした。
いつもであれば左側の回廊に向かって歩くところを、反対方向に向かって走り出した。広場から居住区の三区に向かう。
一度、彼女を送り届けたことがあってよかった。
「……やっ……んっ」
悲鳴はくぐもった声になり、誰かが口を封じようとしている様子が伝わってきた。
「何をしている」
三区へ向かう道の路地裏。建物の壁に人を追いやって、自由を奪おうとしている男が二人。
「な、こんな時間に。軍人か? なんでこんなところに?」
話し方から察するに、スワン族の男のようだ。
「た、たすけてっ!」
口が自由になった隙に彼女が助けを求めたため、アーネストは剣を抜く。
「黙れ」
「んっ」
「彼女を離しなさい」
逆上させないように、だけど威嚇するように。落ち着きを払いつつ低く響く声で、静かに声をかけた。
一対二。さらにリリーが捕まっている。明らかにアーネストのほうが、分が悪い。
「ちっ。ずらかるぞ」
だけど彼らはアーネストには敵わないと思ったのだろう。リリーを押しのけて、走り去っていく。
いつもであれば左側の回廊に向かって歩くところを、反対方向に向かって走り出した。広場から居住区の三区に向かう。
一度、彼女を送り届けたことがあってよかった。
「……やっ……んっ」
悲鳴はくぐもった声になり、誰かが口を封じようとしている様子が伝わってきた。
「何をしている」
三区へ向かう道の路地裏。建物の壁に人を追いやって、自由を奪おうとしている男が二人。
「な、こんな時間に。軍人か? なんでこんなところに?」
話し方から察するに、スワン族の男のようだ。
「た、たすけてっ!」
口が自由になった隙に彼女が助けを求めたため、アーネストは剣を抜く。
「黙れ」
「んっ」
「彼女を離しなさい」
逆上させないように、だけど威嚇するように。落ち着きを払いつつ低く響く声で、静かに声をかけた。
一対二。さらにリリーが捕まっている。明らかにアーネストのほうが、分が悪い。
「ちっ。ずらかるぞ」
だけど彼らはアーネストには敵わないと思ったのだろう。リリーを押しのけて、走り去っていく。