【完結】無愛想刑事に恋したら溺愛されました(仮)


 すると刑事さんは「車のナンバーは見ましたか?」と聞いてくる。

「いえ……大雨で、よく見えなかったです」

 似ている車なんてたくさんあるし、確信が湧かない。

「ちなみに、車に乗っていた犯人の顔は見ましたか?」

「いえ……見ていません」

「そうですか。 ちなみにその車は、どっちの方面に走っていったか分かりますか?」

「えっと……確か、十字路を左に曲がったような気が……」

 私がそう言うと、刑事さんは「そうですか。 もしかしたら、柏崎さんが見た車は……多分犯人の車だと思われます」と言ったのだった。

「……そうですか」

「貴重な情報、ありがとうございました」

「いえ……お役に立てず、申し訳ありません」

 刑事さんは私の話を聞くと、そのまま私の家から出ていった。

「あの車が……」

 犯人の車……。私は、犯人の車を目撃してしまっていたんだ。
 顔は見ていなかったけど、まさかあの車が犯人だんて……。
 でもきっと、大丈夫だと思う。あの刑事さんが、きっと犯人を見つけてくれるだろうし。

 それからさらに数日が経った時、あの事件の犯人が逮捕されたとニュースで報道された。
 
「犯人……捕まったんだ」 

 ニュースの映像には、逮捕された犯人がパトカーで警察署に連行されていく姿が映されていた。
 これが犯人……。でも捕まって良かった。
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