【完結】無愛想刑事に恋したら溺愛されました(仮)


「今……駅方面です」

 私がそう言うと、刑事さんは「十分でそこに行く。俺が行くまでそこを動くなよ」と言って電話を切った。

「どうしよう……」

 あのカバンの中には、明後日の会議で使う資料とか、お財布とか色々入ってるのに……。

 私は近くの地面に座り、刑事さんが来るのを待った。
 それから本当に十分ほどで、刑事さんはやって来た。

「柏崎さん!」

「刑事さん……」

「おい、大丈夫か?」

 立ち上がった私に、刑事さんはそう声をかけてくれる。

「は、はい……」

「ひったくり犯、どっちに行ったか分かるか?」

「あ、あっちです」

 指指した方を見た刑事さんは、すぐにスマホで誰かに電話をかけ、ひったくり犯の情報を共有した。

「今俺たちで、ひったくり犯を追ってる」

「は、はい」

「バイクに乗ってた、と言ってよな? そのバイクってもしかして……このバイクじゃないか?」

 刑事さんに見せられたその写真は、さっき私のカバンをひったくりした男が乗っていたバイクと同じものだった。

「あ、これです! このバイクです!」
 
 間違いない!このバイクだ……!

「やっぱり……。この男、ひったくりの常習犯だ」

「えっ? 常習犯……?」

「ああ。俺たちも、ずっと追ってんだよ。この男を」

 そうだったんだ……。ひったくりの常習犯……。
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