【完結】無愛想刑事に恋したら溺愛されました(仮)
「まさかお前が、ひったくりに遭うとはな……。偶然と言うべきか、必然と言うべきか……」
確かに……。もう二度と会うことはないと思っていたから、これは偶然ではなくて必然のような気がしている。
呼び方は、相変わらずお前だけど……。感じがいいのか悪いのか、分からない。
「……正直に言うと、もう二度と会うことはないと思っていました」
「そりゃ俺だって、会うとは思ってなかったけどな」
「……迷惑かけて、すみません」
なんだか申し訳ない気持ちになる。
「それより、カバンの中身は何が入ってる?」
そう聞かれた私は、「会社の会議で使う資料と、お財布と……メイク用品とかです」と答えた。
「分かった。……心配するな」
「え……?」
私が心配そうな表情をしていたのか、刑事さんは私にそう告げる。
そして私の頭にぽんと手を乗せると「安心しろ。俺が必ず、犯人を捕まえてやる」と力強く言ったのだった。
「……っ、はい。よろしくお願いします」
なんか今私……ビックリした、自分でも。 だって今、私……。
「おい……どうした?」
「い、いえ……」
刑事さんのその力強い表情に、ドキッとしてしまったーーー。
あの時初めて出会った時は、無愛想な人だと思ってたのに……なぜか私、ドキッとしてしまった。
「不安か?」
「いえ……そんな」