【完結】無愛想刑事に恋したら溺愛されました(仮)
その日の仕事終わり、私は警察署に立ち寄った。
「あの……警察から電話があって、ひったくりに遭った荷物を取りに来た柏崎と申しますが……」
「柏崎さん。 少々お待ちください」
「はい」
受付で要件を伝えると、受付の女性が内線で誰かに電話をかけている。
電話を切った女性に「ただ今担当の者が参りますので、こちらでお待ちください」と案内され、待合スペースで待った。
「柏崎さん」
「……あ、刑事さん」
「待たせたな。こっちだ」
刑事さんに案内された私は、そこで自分の荷物を確認した。
「どうだ? 他に盗まれたものはないか?」
中身を全て確認した後で、私は「……多分、大丈夫だと思います」と答えた。
資料も免許証も、保険証も、家の鍵もあった。
「そうか。 じゃあこれで、以上だ。帰っていいぞ」
「……はい。ありがとうございました」
私はそのカバンを受け取り、警察署を後にした。
「なんかな……」
あの刑事さん、無愛想っていうか、なんていうか……。
でもなんだか……あの刑事さんのことが、気になるのはなぜだろうか。
「……まあいっか」
もう多分、本当にもう会うことはないだろうし。
あの刑事さんに会えたことに、感謝しよう。荷物もこうして戻ってきたことだし。
もう……会うことはない、きっと。