【完結】無愛想刑事に恋したら溺愛されました(仮)


「誰か怪しい人物などは、見ていませんか?」

 という質問もされた。

「誰も見ていません」

 と答えても、次から次へと質問がやってきて、殺人現場を目撃してしまった私にとっては、忘れられない出来事になりそうだった。

「被害者と面識はありますか?」

 そうも聞かれた。

「いいえ。会ったこともありません」

 そう答えた所で、事情聴取は終わり開放されたけど、こんなに色々聞かれるのか……と思い、なんだか疲れてしまった。
 私が犯人ではないかと疑うような言葉も警察から出たけど、私が犯人ではないことはすぐに証明されたので、それ以上疑われることはなかった。

 まさか本当に疑われることになるなんて、思わなかったけど……。
 とにかく無事に開放されて良かったけど、また何か思い出したことがあれば、連絡をくださいとも言われた。
 明日が休みで良かったなと思いつつ、なんだか今日は眠れそうにない。 あの現場のことを、思い出しそうで怖くなりそうだ。

 その日の夜十一時頃のニュースで、さっきの事件のことが報道されていた。 ニュースによると、被害者の身元や職業などは、まだ分かっていないとのことだ。
 
「そっか……。まだ身元、分かってないんだ」

 さっきの人……家族だっているよね、きっと。 もしかしたら、奥さんや子供もいたかもしれないよね……。
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