恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

11.

 そんなこんなで大学三年生が終わり、四年生になった。
 武尊と森君が起こした会社は爆発的、とはいかないけれど少しずつ成長して行く。

 あっと言う間に、二月。
 私は結局就活をしないまま、卒業後は正社員として二人の会社に入ることが決まっていた。 

 三人とも卒業論文の提出が無事終わり、武尊と私は卒業式待ちとなっていた。
 森君は大学院に進むのだという。
 
 武尊からメッセージが届いた。
 
『優希、卒業旅行に行こう』
 
「うん! 森君も一緒?」
 
『あいつはいかない』
 
 二人だけ。
 彼の言葉を噛み締める。
 恋人としての旅行なんだ。嬉しい。

 私は十九日、武尊達は二十日に卒業式がある。
 
『二十一日から一週間。パスポートもとっておいて』

「うん!」
 
 二人とも、双方の両親に挨拶済みだった。
 互いの誕生日やクリスマスもバレンタインもホワイトデーも一緒に過ごしている。
 
「もしかしたらプロポーズ? やーん、そんな!」
 
 私はウキウキと舞い上がっていた。
 
 そんなとき会社のアドレス宛に、メールをもらった。
 手術室用の器具を制作している医療メーカーから、私達の事業に興味があるという内容だった。
 
 私は二人に転送し、動画サービスでリモート会議をすることになった。
 
『このメーカー、いずれは営業かける所だったよな』
 
 森君が武尊に確認する。
 
『うん。手術室内のベッドや床にセンサーを埋め込んで、それを負荷のデータに加えられないかって提案をしようと思ってた』
 
 術式ごとにデータが取れるから、臨床系へのフィードバックにも役に立つかもしれないと、二人の意見はまとまった。
 
『てなわけで、アポイントとる。優希を連れて行く。優希、プレゼン資料の作成を進めておいて』
 
『わかった』
 
 好感触を得られたようで、たびたび武尊はそのメーカーに足を運ぶようになった。
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