恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

4.

「どうしよう」
 
 しわがれた誰かの声が耳に入ってくる。
 
「私、武尊と別れなければならないの」
 
 私の声だった。

「言われてないんだもん、あの女の人の言葉なんて無視していればいい」
 
 でも。旅行で、彼に告げられてしまうんだろうか。
 
『別の女性と結婚することにしたんだ。この旅行は今までの慰労金と退職金代わりだよ』って?
 
 ぶるぶると体が震える。
 いやだ。武尊以外に考えられない。でも、明日、裏切りの言葉を聞かされてしまう。

 別れたくない。
 私は荷物を持って会社から飛び出した。

 携帯に武尊からの着信やメッセージが何件も残っていたけれど、無視。
 旅行カバンは詰めてあるから、私は荷物を持ってアパートも飛び出した。
 
 ビジネスホテルに飛び込んでから、武尊にメッセージを送った。
 
「ごめんなさい、明日からの旅行は行けなくなりました」
 
 それだけ送ると、携帯の電源を切った。
 ベッドに倒れ込むと、ボロボロと涙が溢れてくる。
 
「……武尊、なんで?」
 
 わざわざ恋人になってくれなくても、武尊に頼まれれば、絶対に断らなかったのに。
 
「ふ、うぅぅ……。期待させた分、責任とってよぉ……」
 
 それとも『イケメンの恋人として振る舞えたんだから、感謝しなければ』ならないの?
 あんまりだ。
 
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