恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

6.

私は耐えきれなくて、医療メーカー令嬢との話を告げた。
 
「わ、私。武尊に騙されてたの、愛されてなかったの……!」
 
 うわーんと大声で泣いてしまった。
 
「……とんでもない話だな……」
 
 えずきながら洟をかんでいると、森君からそんな言葉が聞こえた。

 ティッシュの隙間から彼を見ると、怒りのオーラが渦巻いている。
 武尊は親友にも内緒にしていたのか。
 よかった。森君もグルだったら人間不信になる所だった。
 
「とりあえず、優希ちゃんはここで寝てな。クマがひどい。大丈夫、俺は優希ちゃんの味方だから、悪いようにはしない」
 
 優しく言ってもらえて、お言葉に甘えた。

 ……起きてみると、武尊は二年間の海外出張が決まっていた。
 以前話していた、手術のサンプルデータを集めに行くらしい。

「え」

 それって、私の人生からのフェイドアウトを狙ってる?

 ショックを受けている私に、会社に籍を残したまま森君が所属している研究室への出向を打診された。
 
「武尊と話し合った。辛いけれど、今は二人は冷静になれないだろう。武尊から連絡がある時は俺を介する。優希ちゃんもそうして」

 涙が溢れて止まらない。
 でも、武尊と細くでもいいから繋がっていたい。いじましく考えた末、私はこっくりと頷いた。
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