恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

3.

 家に帰ってみてからサイトに行ってみる。
 http://14344.1437.153.823×××××……、とても無骨なアドレスだ。
 
「テスト品だと、こんなものかな……」
 
 クリックしてみると、アバターが喋る。
 
『こんにちは、僕は君のパーソナルインストラクター、Daring。まずは君のデータを入力してほしい』
 
 声まで武尊だ。
 きゅん、と切なくなってしまった。
 唇を噛み締める。やっぱり、まだ自分はこんなにも彼が好き。
 
 身長、体重。目的、生活週間、傾向、性癖。運動量など。
 膨大な質問に、一つ一つ丁寧に答えていくと、薄ぼんやりしていた、私自身のアバターが段々と形作られていく。

「いやぁ、どこまで膨らんでいくの!」

 ぱんぱんではないか。

『現在のあなたです』と言うコメントに、どきりとなる。

「……私以外の人には、『出船優希』ってこんな風に見えてるんだ……」

 そりゃ『デブネ』って言われる。
 私、姿見あるけれど、きちんと見たことなかった。

 最後に名前を訊ねられて、自分の名前をつけた。
 このアバターは私なんだ、と。私自身に刻み込む。
 
『オーケー、優希。これからよろしく』
 
 Datingは武尊そっくりにニコッと笑いかけてきた。
 
「〜〜〜〜!」
 
 武尊に飢えている身に、武尊そっくりの微笑みがキツい。
 途中何度もVチューバーにときめいたりしつつ、なんとか運動を習慣としていない人のメニューを選んだ。
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