恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

5.

 Datingは武尊そのままの性格をしているようで、返事をすれば褒めてくれ、ワークアウトを完了すれば褒めてくれ。

『ありがとう、優希。正直にカムアウトしてくれて。俺と君とのメソッドは、君がどれだけ素直で正直でいてくれるかにかかってるんだ』

 恥を忍んでお菓子達の写真を撮れば、とっても褒めてくれた。
 サボろうとすると、一定時間をおいて催促してくる。

『優希に会えなくて寂しいな』
『俺のこと、嫌いになった?』
『優希……会いたい』

 登録したアカウントへ、恋人まがいのメッセージを送りつけてくるのだ。
 携帯をオフにしても、オンにしたとたん、どどどっと受信してしまう。
 うざかったら削除すべき。
 なのに、『武尊』が笑いかけてくれて話しかけてくれるのに、捨てることなんてできなくて。

『優希、俺の優希。どこ?』

 止めないと、どんどん愛のメッセージが送られてくる。

「く……!」

 画面のこちら側では、真っ赤になっているというのに。

 耐えかねて、とうとう森君にスクショした画像を添付してクレームする。

「Dating、イケメンスパダリすぎて、ときめいちゃうんだけど! 私、このままだと二次元に恋するイタイ人になっちゃう!」

 なんと危険なプロトタイプだろう。
 このまま世界に流出してしまうと、クライアントは必ずDatingにメロメロになる。
 自分よりナイスバディな美女達が、アバターにうっとりするのを想像するだけで、嫉妬心が沸き起こる。

 ……あまりに武尊にそっくりすぎて、苦しい。

 森君からは。

『あれ、武尊だもん。しかも優希ちゃんとの遣り取りから学習して、ユーザーのニーズを拾い出すんだ。課金したくなった? さすが俺、優秀』

 という答えのみ。

「プロトタイプだからって武尊そっくりて、どうなの!」

 文句を言う自分の顔が真っ赤なことくらい、わかってる。
 嬉しい。
 まるで武尊とリモートデートしてるみたい。

「ではなくて!」

 アレはプログラム!
 私は武尊にざまぁをするために、アレを借りたのだ。
 渋々、サイトに行く。

『優希、会いたかった!』

 Datingに満面の笑顔で大歓迎されてしまい。

「〜〜〜〜!」

 まるで武尊本人に言われているようで、嬉しくて幸せで顔がにやけて戻らない。
 おかげで、しばらくワークアウトできなかった。

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