恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

7.

『武尊が、優希に面と向かって、そう言ったの?』

 かくんと、Datrigが首を横に傾げて質問してくる。
 あざと可愛い。
 森君、女心を掴むのが抜群にうますぎない?
 
「……言ってない」
 
 人伝に聞いただけだ。
 
「でも、彼がそんなことを言わなければ、あのひとだって……!」
 
 私がうめくように叫ぶと、とても冷静な声がタブレットから返ってきた。
 
『AIは嘘をつかない。でも人間は嘘をつく』

 Datingの言葉に、ハッと私は目を見開いた。
 
『嘘を言っているのは、優希。武尊。あのひと。誰。全員?』
 
 質問してきたアバターに、私は体を震わせながら答える。
 
「……いいえ、全員じゃない……」
 
 少なくとも自分は、この件については事実を述べている。
 令嬢のせいで、武尊を『嘘つき』と判断したけれど。
 
「もしかしたら……、あのひとが嘘をついた可能性がある?」
 
 つい、すがるように画像の中のDatingを見つめる。しかし、彼はなにも反応しない。

 愚痴ってしまう。
 
「じゃあ武尊は、なんで私に連絡してこないの?」
 
 我ながら、ムシのいいことを言っている。

 武尊がせっかくプランニングしてくれた旅行を前日になってドタキャンした。
 その後ずっと連絡をくれていた彼を、無視し続けたのは自分だ。
 
「……もう、嫌われちゃったよね……」
 
 涙が滲んできた。
 
 今まで『デブネ』とからかわれ、嫌な思いをしてきた。
 けれど、その人達を恨んでも憎んでもいけないと、『性格美人』を目指してきたのに。
 
「私ったら、すっごい性格ブス……」
 
 ぽた、と熱い雫が瞳から離れ、床に落ちていく。
 
< 27 / 47 >

この作品をシェア

pagetop