恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

3.

 家に入って、病院の購買で購入した腰痛ベルトを締めたら、とたんに楽になった。

「歩ける……!」

 カニさんのように横歩きしながら、そろりそろりではあるけれど。
 でも病院に行く前よりも、楽に動ける。
 食べ過ぎと言われたので、自分の食生活を思い出してみる。

「……仕事で残業続きの時は『ご褒美』って言って、食べてるなあ……」

 まずは閉店間際のパティスリーに駆け込んで、たっぷりと砂糖を入れたミルクティーにケーキを二、三個。
 そのあと、口がしょっぱいものを求めているから、お一人様居酒屋に行ってザンギやポテトをつまみにビールジョッキを傾ける。
 疲れたからって、タクシーでご帰宅。

「……そりゃ、太るよね……」

 元々、食べることが好きな子供だった。
 それが最近は悔しいことや腹立だしいことがあると、ストレス喰いをするようになってしまっている。
 きっかけはなんだったか、なんて考えるまでもない。

「あれから、だよね」 
  
 ……恋人で、雇い主の深山(みやま)武尊(たける)と、大喧嘩したことだ。
< 3 / 47 >

この作品をシェア

pagetop