恋の障壁は0.1㌧!〜痩せたら大好きな彼に復讐しようと思ってました、だがしかし〜

11.

 暴食のくせが治らない。
 運動することが習慣になってきてても、体重はなかなか落ちないのはきつい、心が折れそうになってる。

 報われない。
 毎日、やめたい。

『痩せるのも、痩せないのも優希の自由だ』

 突き放されると、ショックを受ける。
 我ながらめんどくさい性格。

『今の優希だって可愛い。今の優希が好きだと言う男はたくさんいる』

 たくさんはいらない、たった一人でいいのに。

『ただ、太っていることで病気や怪我は多い』

 苦しそうにDaitngが囁く。

『そのままの優希でいい。けれど、幸せで健康でいてほしい』

 アバターのセリフで、私の中のなにかがはじけた。

 そうか。誰のためでもない。
 私は、私のために痩せるんだ。

 ぎっくり腰だって、重さに筋肉や骨が耐えきれなかったから。
 同じような体型の人が、のきなみ腰を痛めているわけではない。
 私が、自分の体のケアを怠ってきたからだ。

 当たり前のことを、初めてわかった瞬間だった。
 
 令嬢に傷つけられた心を誤魔化そうとして、私自身が体を損なわせてしまった。
 変わりたい。

「……今からでも遅くない?」

 おずおずと呟けば、優しく答えてくれる。

『なにかを始めるのに、遅いなんてことはないよ』

「ねえ、Dating。私、弱いの」

 怒られると心が折れてしまう。

『甘やかしてあげる』

 アバターは武尊そっくりの顔で笑う。

『優希が投げ出さないように、いつも見守って励ましてあげる』
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